子どもがYouTuberになりたい、
プロゲーマーになりたいと言ったら?
子どもがYouTuberになりたい、
プロゲーマーになりたいと言ったら?
2025.5
子どもがYouTuberになりたい、
プロゲーマーになりたいと言ったら?
子どもがYouTuberになりたい、
プロゲーマーになりたいと言ったら?
2025.5
お子さんの将来の夢は何でしょうか。
第一生命保険株式会社の「第36回『大人になったらなりたいもの』調査(2025年3月)を見ると、小学生男子の2位、中学生男子の3位に「YouTuber/動画投稿者」がランクインしていました。
注)https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2024_059.pdfより転載
憧れの人の第一位は大谷翔平選手でしたが、4位にはYouTuberの「HIKAKIN」さんがランクインしていました。HIKAKINさん以外にも、ゲーム実況者や歌い手などYouTuberを挙げる子どもも多い結果になりました。
小学校等で将来なりたい職業を聞く授業がありますが、多くのクラスで最低1人は「YouTuber」、或いは「プロゲーマー」などと答える子どもがいます。幼い頃からSNSやゲームに親しんでいる今時の子どもらしい発言と言えるでしょう。
このように、将来の夢がYouTuberやプロゲーマーということが一般的になってきました。では、もし我が子に「将来はYouTuberになりたい」「プロゲーマーになりたいから、ゲームを制限しないで」などと言われたら、保護者はどうすべきなのでしょうか。
「YouTuberは収入が不安定なのではないか」と心配される保護者は多いものです。では、YouTuberの収入実態はどうなっているのでしょうか。
ファストマーケティングの「YouTuberに関する実態調査」(2022年4月)によると、平均的なYouTuberとしての月収は、「5,000円~1万円未満」が28.7%と最多に。次いで「1万円~5万円未満」が25.6%、「5,000円未満」が20.7%でした。30万円以上は5.2%でした。自由に使えるお小遣いが増えるくらいの収入で、これだけで生活するのは難しいようです。
注)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000058070.htmlより転載
YouTuberの収益は、広告配信サービス「Googleアドセンス」から支払われる広告収入がメインです。動画の再生前や再生中に広告が表示されたり、クリックされたりすると収益が発生する仕組みです。人気が出れば、企業などとのタイアップ案件などによる収入も見込めます。
広告は入札制であり、繁忙期か閑散期かなど時期によって変わります。1再生あたりの広告収入単価も人によって異なり、実績や分野などによって変わります。一般に、再生単価0.05円〜0.1円程度のYouTuberも多くなっており、0.1円の場合は10万再生で1万円の収入になります。
最近、再生単価の低いTikTokやYouTubeショート等のショート動画が隆盛となりました。収益性が下がったことで、HIKAKINさんなどの所属するYouTuber事務所UUUMは上場廃止となりました。
YouTuberの多くが「以前の数分の一に収益が下がっている」と明かしています。驚くような高収入を手にしているYouTuberもいますが、あくまでごく一部にすぎないことは知っておくべきでしょう。
プロゲーマーの収益も明かされています。「Apex Legends」のプロプレイヤー「TeQ」氏は、Xで約4年のキャリアで得た収入の合計が7万ドル(約1,000万円)と明かしています。これは給与、大会の賞金、Twitch(アマゾン傘下のライブ配信プラットフォーム)配信収益を合計したものです。月に平均すると約1,500ドル(約23万円)で、これは米国では貧困ラインとなります。
https://x.com/TeqINTL/status/1778434246312448336
TeQ氏は、学業や仕事などは捨てず続けるべきであること、成功するには並外れたスキルと幸運が必要であり、この分野で成功できるのはごく一握りの人だけであることを述べています。すべてを捨てたとき、それでも成功できなかった場合、現実世界で追いつくことは非常に難しいというのです。このような先人の言葉は、決して無視するべきではないでしょう。
保護者には、子どもがこのような職業に憧れることを心配する方もいるでしょう。しかし、保護者が子どもの夢を言下に否定するのは、やはり問題です。職業に対する差別意識を植え付けてしまう上、子どもに反発されてしまうだけでしょう。
まず、なぜその仕事に憧れるのか理由を聞いてみましょう。なぜYouTuberになりたいのか、どんな動画を配信して、誰に見てほしいのか。そのようなことを話すことで、子どもの心に潜む一番の願いが理解できるかもしれません。
映像の撮影や編集に興味があるなら撮影、編集の体験をさせたり、映画等について学ばせたりするのもいいでしょう。話す仕事がしたい、目立ちたい、お金を稼ぎたい、ゲームが好きなど、その子ならではの理由を知り、それに基づいた職業の選択肢の可能性を探っていくといいかもしれません。単に勉強をしたくなくて逃避的に口にしているだけなら、それを自覚すべきかもしれません。
公開範囲を制限して、試しに動画を作成させてみるのもいいでしょう。なお、HIKAKINさんは7分の動画を完成させるために編集作業に6時間かけるそうです。企画、撮影、編集の繰り返しであり大変な仕事であることを知った上で、それでもやりたいのであれば、応援することも大切かもしれません。
なお、YouTuberやプロゲーマーとして成功するためには、引き出しを多くし、トークスキル、健康な身体なども必要です。将来成功するためには、YouTubeだけ、ゲームだけをプレイしていてもダメでしょう。利用時間は適宜制限しつつ、成長に必要な運動をしたり、広い知識を得るために学校の勉強をしたり、博物館や水族館、植物園など興味がある場所に出かけて見聞を広めることも必要です。そのような活動を通して、子どもが自分の夢を見つけ、叶える応援をしていければいいのではないでしょうか。
高橋暁子
成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト
SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。NHK「あさイチ」「クローズアップ現代+」などテレビ出演多数。SNS関連著作は20冊以上。全国の小中高校大学で講演多数。教育出版中学校国語の教科書にコラム掲載。「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」技術審査委員会技術審査専門員。元小学校教員で中学生の母でもある。
https://www.akiakatsuki.com/