今回は2月の午後入試の学校を中心にみていきます。短期決戦型の入試傾向が強まるなか、その影響は午後入試に様々な形となって表れています。こうした傾向を踏まえて、2026年の受験に臨まれる方は、いわゆるサンデーショックもあり受験校の選択についてじっくり検討していきましょう。
サピックス小学部の児童の2月1日の1名あたりの平均受験校数は約1.46校です。実は1月校だけで進学先が決まり、2月以後は受験をしないという児童も増加傾向ですので、約半数の児童が2月1日は午前・午後と2校の受験をします。午前と午後で同じ学校を2回受験する児童もいますが、午前・午後で別の学校を受験する児童も少なからずいます。午前の試験時間が長い学校や一部の 教科を午後に実施したり、午後に面接や体育実技がある学校でも午後入試を受験する児童がいたりと入試パターンは多様化しています。午後入試の学校は4科目受験の学校でも1教科あたりの試験時間を短めにしたり、理科と社会を同一時間に実施してなるべく試験時間を短めにしたりしています。
さらに試験科目を算数と国語あるいは算数と理科のように2科目にする学校、最近は算数や国語だけの1科目だけの受験にする学校が増加しています。そのため午前に比べ、午後の入試は負担が少なくなっています。とはいえ午前の学校の試験終了時間が遅いケースや、午前と午後の学校が遠い場合はやはり体力的に厳しくなります。2校受験する場合は可能であれば同一の学校、別の学校を受験する場合は移動時間を考えてあまり無理のない併願パターンにすることが大切です。
さて昨年度の入試要項で注目を集めたのは光塩女子学院と日本女子大附属が2月1日の午後に算数1教科入試を新設したことです。光塩女子学院は112名、日本女子大附属は183名の出願者数となりました。東京農大一は2月1日の午前に入試を新設、286名の出願者となりました。1日の午後は1031名⇒992名、2日の午後は1014名⇒1019名となりました。同じ小田急線経堂駅が最寄りの鷗友学園女子は1日午前が520名⇒557名と増加しており、恵泉女学園は1日午後が475名⇒594名と増加していますので、この3校の併願が大きく増えたと考えられます。東京農大一の難化を警戒し、恵泉女学園を受験した方も少なからずいたかと思いますが、予想より難化したと思われます。
東洋大京北は1日午後を従来の算数・国語の2科から算数・国語または算数・理科の選択に変更しました。昨年度は324名だった受験生が合わせて371名と増加しましたので、学校の狙いは成功したと思われます。山手学院は後期日程を廃止し、2月2日の午後に特待選抜Ⅱを新設しました。昨年度は1日午後の特待選抜の出願者数が633名でしたが、今年は1日午後が673名、2日午後が537名となり、短期決戦型の最近の志望校選択に合った入試変更であったと思います。青山学院横浜英和は2日の午後を廃止し、1日午前と3日午後の2回入試に変更し、定員を1日は60名⇒70名、3日は30名⇒40名と増加しました。出願者数は増加しませんでしたので、志望順位が高い児童が入学したと思われます。
宝仙学園理数インターは順天堂大学の系属校となり、1日午後と4日午後に医学進学入試を新設しました。1日は45名、4日は92名が出願しましたので、今後が楽しみです。
ここで要注意なのは算数もしくは国語のどちらかを選択する入試です。特に女子校では国語を選択する児童が多いので、学校によっては国語が非常に難しくなり、結果として算数の方が合格しやすくなる場合もあります。昨年度の結果などを参考に、また過去問題を解いた結果も参考にしながら受験科目を選択するようお願い致します。
最近は短期決戦型の入試になっており、前半の入試での手続き率が高い学校も少なからずあります。一般的には定員よりかなり多めの合格者数を出す学校が多いですが、そのような学校ではほぼ定員通りの合格者しか出さない学校もあり、かなり厳しい入試となります。その一方で進学先を決めた受験生はそれ以後の入試を受験しなくなりますので、出願者数がかなり多くても実受験者数がかなり減少するケースもあります。こればかりは事前に判明しないことが多いので、もし後半の日程の入試まで受験せざるを得なくなったなら、お通いの塾の先生と相談しながら受験校を選択して欲しいと思います。
2026年は2月1日が日曜日となるサンデーショックの年になります。特に女子にとっては受験校選択が難しくなります。模試を受験して志願動向を確かめながら、どの学校に一番入りたいかをよく考えてまずは第一志望校をしっかりと決めましょう。
広野 雅明( ひろの・まさあき )
サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。