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算数をもっと好きにさせてあげたい! vol.01

低学年で勉強する「数」

大切なことは、教え込まない!?

算数をもっと
好きにさせてあげたい! 
vol.01 低学年で勉強する「数」 大切なことは、教え込まない!?

学習指導要領の改訂や大学入試改革により、子供たちに求められる力は大きく変わってきています。それは中学入試の出題問題へも色濃く反映されていると言えます。その中でも最近よく耳にする「論理力」という言葉。一体、中学入試で求められる「論理力」とは何を指すのでしょうか。そしていつから、どのように鍛えていけばよいのでしょうか。

「論理力」をどう鍛えるか

中学入試において、どうしても偏差値などの数値として現状の評価が可視化されることから、苦手なところを強化したい、補填したいと大人は考えるものです。でも本当にそれが我が子にとって大切なことなのか。もしかしたら人それぞれ異なるのかもしれません。中学受験の算数は「数」「図形」「文章題」の大きく3つに分かれています。この中で点数に差が付くのは「数」と「図形」の問題です。難関校になればなるほど、この2つの割合が増える傾向にあるのは、それだけ本質的で重要な分野だからです。今回は低学年から親しみやすい「数」の分野を例に、子供たちに算数をもっと好きになってもらうための早稲田アカデミーの工夫について紹介します。
 
「数=計算」と捉えがちですが、今回ご紹介する「数」は計算分野のことではありません。
計算はルールに従えば正解が導ける「作業」です。一方で、早稲田アカデミーでは「数」の問題を「数論」と捉えています。数論とは数の性質や法則を探る学問です。子供たちが「数論」を学ぶうえでもっとも大事なのは、「なぜこの数字になるんだろう」「何かこの数字おかしいな」と感じる感覚です。たとえば、「かけ算した結果がこの倍数になるわけない」「偶数同士をかけたら答えは偶数になるはず」といった直感のようなものは、計算のような作業とは異なる「論理力」が土台になります。本来、子供たちにとって「数」というのは抽象的でわかりにくいものです。この抽象的な「数」をいかに感覚的に捉えられるようになるかは、経験値に大きく左右されます。だからこそ、低学年から積極的にそういった経験を重ねることが、算数の力を伸ばしていくための重要な鍵になると考えているのです。

「数の謎解きのような楽しさを知ってほしい」

低学年で身に付けたい「数って面白い」という感覚。「数」の世界というのは、実は謎解きのような楽しさがあることを体験して感じ取ってもらうことが大切です。そして、解き進めながらわくわくするような瞬間や感動を味わってもらいたい。早稲田アカデミーの低学年(1・2年生)向けクラス「スーパーキッズコース」では実際にそんな思いをこめて問題を作成し、フルカラーでイラストをふんだんに使った教材に取り組んでもらっています。

出典:早稲田アカデミー 小2「スーパーキッズコース」算数問題

このおきかえの計算問題は、猫と犬をひっくり返して引くと「うさぎ」になるという問題です。まずは適当に数字を入れて試しますよね。答えのうさぎが1桁にならなければいけないので、32と23のように隣同士の数字でないと絶対にうさぎにならない。このことに気付ければ「うさぎ=9」になる。猫と犬の和が9で、差が1となることから猫=5、犬=4と答えが出ます。大人でもちょっと考え込んでしまうような面白い問題ですよね。低学年の子供たちがこうした「数」の問題に取り組む際、子供たちは「数って不思議だなぁ」「考えるって楽しいなぁ」といった反応を見せてくれます。
もう一つおきかえの計算問題を載せておきます。ここではあえて解答を載せません。皆さんで考えてみてください。

出典:早稲田アカデミー 小2「スーパーキッズコース」算数問題

小学校の勉強では1つ1つをきちんと理解しながら先へ進んで行くことが目標になりますが、スーパーキッズコースでは考える楽しさを重視します。数の不思議な世界に触れ、試行錯誤することで心が動くような原体験こそが重要だと思うからです。この試行錯誤こそが「論理力」そのものだと考えています。子供たちは数を通してさまざまな角度からの考え方に触れることで、感動や発見の機会を楽しむ、この繰り返しが子供たちを算数好きへと変えていくのです。

「教え込まない」ことが算数への向き合い方を変える

このときに大切なのは、「教え込まない」ということかもしれません。この問題はこう解くという形で教え込むと正解に至るようになるかもしれませんが、勉強を好きになれるかというと少し違った側面があるでしょう。スーパーキッズコースでも、子供がその日の授業で、真剣に向き合い夢中になって取り組めた問題が1問でもあれば、すべての問題を暗記するよりも、はるかに実りある時間だと思っています。パズルのように次々と謎が解けていく。そんな心が踊るような体験から、算数は「難しい・苦しいもの」ではなく、「楽しい・面白いもの」だということを子供たちが実感できれば、算数へ向き合う姿勢そのものが大きく変わっていくと思うのです。 (次回へ続く)

取材協力:リセマム
早稲田アカデミー中学受験部 部長
丸谷俊平