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入学前に知っておくべき

私立中の

意外な出費 TOP5

入学前に知っておくべき
私立中の意外な出費
TOP5

私立中は入学までに入学金、授業料、施設維持費、教育充実費などの初年度納入金以外に、制服、体操服、靴、定期代金、保険料などもかかり、初年度総額は200万円くらいかかります。入学後は、毎月10万円くらいはかかる覚悟が必要です。そこで今回は、私立中入学前に知っておくべき私立中の意外な出費をランキング形式で5つご紹介します。

第5位 学校指定の情報端末代

情報端末代というのは、ノートパソコンとかタブレットのことで、約10万円の出費になります。

BYOD(Bring your own device)といって、すでに持っているiPadとかChromebookを授業で使える先進的な学校もありますが、まだ少数です。BYODは合理的ですが、勉強以外のことに使ってしまったり、セキュリティ面に不安があったりとリスクがあるので、多くの学校は指定端末を新たに購入することが求められ、その指定端末は学習に必要な機能しか使えないように制限がかけられている仕様になっています。

第4位 昼食代

私立中に通う場合、1か月の昼食代は約1万円から1万2,000円くらいになります。

公立中に通った場合、給食の年間平均額は5万円台ですが、私立中で給食がある学校は稀で、弁当持参、食堂での食事になります。一般的な私立中で食堂を利用する場合は一食約500円。公立中高一貫校やミッション系ではない私立中は土曜日も学校があるので、部活がある生徒は1カ月の食費が約1万2千円、部活がない生徒は約1万円かかります。私立中に通う生徒の食費は公立中給食費の倍以上、年間12万円くらいになります。

とはいえ、毎日朝早く起きて弁当を用意するのは本当に大変なもの。その負担がなくなるのであれば、喜んで食費を払うという親御さんも少なくありません。

ちなみに、食堂は学校ごとに呼び方の違いがあります。

食堂……巣鴨、サレジオなど
カフェテリア……三田国際、恵泉女学園など
カフェレストラン……広尾学園
三心館……世田谷学園
DELI CAFE SHiBA……芝国際

それぞれ、どんなメニューか価格設定か一部紹介します。

巣鴨の食堂メニュー

サレジオの食堂メニュー

恵泉女学園のカフェテリア

世田谷学園の食堂は三心館

三田国際のカフェテリア

芝国際はDELI CAFE SHiBA

一般的な私立中の食堂と比べると、芝国際のDELI CAFE SHiBAのメニューの充実度と価格が際立っていますね。それもそのはず、すべてのメニューがオーガニック素材で作られているそうです。このDELI CAFE SHiBAは外部の人も利用できて、芝国際の学生は650円のランチパックを買えます。

このように、学食はそれぞれの学校で特色があるので、学校見学に行った際に、食堂も見ておくことをおすすめします。

第3位 海外留学・研修費

海外留学・研修費用は平均30万円、高額なプログラムは100万円近い費用がかかります。

海外留学・研修は高校になってからの学校が多いですが、なかには広尾学園、東洋英和、東京成徳大学、多摩大学目黒、市川など、中学から希望者は海外留学、研修がある学校もあります。

また、私立は海外留学・研修だけでなく、国内の学校行事も多く、国内の学校行事は基本的に任意ではなく全員参加になります。たとえば、春には一泊二日で2万5千円、夏には二泊三日で3万5千円の探求学習や親睦会、サマーキャンプなどがあります。

日帰り行事、たとえば歌舞伎や音楽鑑賞会などもあり、これらが年間10万くらいになって、これらは諸経費で請求され、積立金とは別に支払うことになります。さらに任意参加の行事も別にあり、それらに参加するとさらに費用が増えていきます。

第2位 部活代

強豪校の運動部だと遠征試合などの交通費、宿泊費、外部指導要員費などもかかるので、3年間で50万円くらいはかかる覚悟が必要です。

私立の学校の吹奏楽部だと、学校の楽器ではなく自分で購入する必要がありますし、ホールを借りた練習などでもお金がかかります。剣道部、馬術部、アイススケート部、アイスホッケー部なども道具にお金がかかります。

とはいえ、中高生にとっての部活は人生においてそのときしか得られないかけがえのない青春です。仲間と共に限界を超えた挑戦、汗と涙を分かち合いながら築く深い絆、勝利の喜びと挫折、部活は、わが子にとって、一生の財産となる特別な体験になるかもしれません。

(番外編 その1)
修学旅行費

ここで、第1位を紹介する前に、番外編を紹介します。番外編その1は、修学旅行費です。今回は「意外な出費」の紹介であるものの、修学旅行費は意外ではないので「番外編」としました。とはいえ、修学旅行費は数ある出費項目のなかでもトップクラスに高額な費用です。

私立中の修学旅行費は国内だと10万円〜15万円程度、海外だと15万円〜50万円程度になります。

いずれも毎月積立金を支払うか、一括払いか選択可能な学校が大半です。

(番外編 その2)
制服・カバン・靴代

私立中の制服代は5万円〜10万円ほどで、これに学校指定のカバンや靴の代金が加わると12万円〜15万円ほどになります。

ただし、成長期真っ只中の中学生は、サイズアウトして、買い替えが必要になります。そこで、文化祭の際に在校生の保護者が催すバザーなどで売られている制服を購入すれば、新品の十分の一以下で済みます。

(番外編 その3)交際費

私立中に通い始めると意外とかかるのが交際費です。私立中に通う子たちは、休みの日などに電車に乗って映画に行ったあとにカラオケに行き、ファミレスで食事をするなどお金がかかる遊び方をする傾向があります。部活の親睦会、学校行事の打ち上げの食事会や、保護者のクラス親睦会、PTA親睦会等の出費も合計すると年間10万円を超えることになります。

第1位 内部進学先高校への入学金など

入学金は平均約25万円、入学金に施設費、諸費用が加わると、入学金の費用から大きく跳ね上がってトータルで約70万円を超えます。

意外と忘れている方が多いのですが、私立中に入学して、付属の高校に内部進学する際に、内部進学であっても、外部からの入学と同じように、また入学金を支払う必要があります。

また、東京都では、2024年度から私立高校の授業料が実質無償化されて、大阪も2024年度から段階的に授業料が無償化されます。しかし、東京も大阪も無償化は授業料のみが対象で、入学金や制服代、PTA会費などは別途必要なんです。

さらに入学金に施設費、諸費用が加わると、トータルで約70万円を超えます。入学金よりも施設費、諸費用が高額なのです。また、寄付金というものが存在する学校も少なくありません。寄付金は、任意の学校は払う必要はありませんが、寄付金の額を指定している学校もあります。

たとえば開成は「第 1 学年に限り 1 口 10 万円で 1 口ないし 2 口の寄付(任意)をお願いしています」とwebサイトに掲載しています。

一方、桜蔭は「入学後に寄付金 1口 100,000円、2口以上のご協力をお願いいたします」と掲載していて、これは任意の「寄付」ではなく「運営費」としての徴収の意味合いになります。


入学後に支払いが発生する項目について、事細かに一覧にして案内に掲載して配付してくれる学校や、webページで公開している公明正大な学校もあります。志望校では費用をどのように、どこまで公開しているか、学校説明会でもらえる学校案内やwebページで確認してみるといいでしょう。

また、「学費ナビ」で「学費内訳」をタップすると、入学金、授業料、その他費用の一覧が出てきます。さらにその下の欄、たとえばサレジオ学院では「副教材費、宿泊行事費用、部活費用等が別途必要」と書かれてあります。学校のwebページと合わせて「学費ナビ」でも調べてみると、意外な費用があることに気づくかもしれません。

西村創
受験指導専門家

早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年以上。
新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。
駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高の合格実績を出す。 河合塾Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。
現在はセミナー講演や書籍執筆、「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信(チャンネル登録10万人超)などを中心に活動。
著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。