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スマホデビューの時期

受験に影響しないルール作りはどうする?

進級進学の時期、子どものスマホデビューを考えているご家庭も多いのではないでしょうか。スマホは便利ですが、一方で「スマホばかり使って勉強をしない」「スマホのせいで寝る時間が遅くなった」というお子さんの悩みはよく聞きます。受験等に影響しないスマホデビューのコツとルール作りについて見ていきましょう。

スマホデビュー最多は中学進学時の12歳

NTTドコモモバイル社会研究所の「2023年親と子の調査」によると、子どものスマホデビューの時期の平均は10.6歳であり、子どもが中学生になる12歳が最多となっています。

塾通いのスタートや中学への進学をきっかけに持たせることが多いのです。塾へのお迎えの連絡用に、または電車通学を始める子どもの緊急連絡用等に持たせたいというお気持ちはとてもよくわかります。
 
便利で楽しいスマホですが、ニュースなどでもよく報じられている通り、スマホは様々なトラブルの入口ともなっています。
 
長時間利用や深夜の利用によって成績が下がってしまったり、LINE等のSNS利用をきっかけに知らない人に会いに行ってしまったり、ゲームにハマって高額課金をしてしまったり、フィッシングサイトで詐欺にあったり、闇バイトに勧誘されてしまう中高生までいます。
 
スマホは多機能で誘惑が多く、適切に使いこなすのは大人でも難しいものです。特に使い始めの時期は、保護者によるルール作りと見守りが大切なのです。
 
持ち始める前に、子どもと利用時間や利用するアプリ、場面などを話し合って利用を始めましょう。保護者が一方的に押し付けるのではなく、子どもの意見を取り入れながら決めることで実効性が高いものにすることができます。

ルールに合わせ利用時間制限機能の活用を

子どもと話し合いながら、一日の利用時間の長さと終わりの時間を決めましょう。利用する時間は、受験勉強や日常生活などに必要な時間から逆算し、影響しない長さに設定します。毎日の学校にいる時間、睡眠時間、塾、宿題、食事や入浴等の時間を計算すると、あまり残らないものです。
 
利用時間に関する約束事を決めたら、それに合わせてペアレンタルコントロール機能などの利用時間制限で守りやすくするのがおすすめです。
 
利用時間の制限は、iPhoneなどのiOS端末のスクリーンタイム機能、Android端末のデジタルウェルビーイング機能の他、あんしんフィルターやiフィルターなどのフィルタリングサービスなどで設定できます。設定の仕方はYouTubeなどでも詳しく解説されているので、調べてみてください。
 
塾の往復時のみ利用させる等、利用する場面や場所を決めたり、夜間は居間でスマホを充電する約束にしたりするのもいいでしょう。学習時などの利用させたくない時間帯は、アナログですが保護者がスマホを預かってしまうのも効果的です。
 
大人でもスマホを見ていたらついつい時間が経っていたという経験がある人は多いでしょう。「友達から新着メッセージがきている」「体力が回復したからゲームができる」など、新着通知をきっかけについつい利用し始めてしまう人は多いもの。通知はオフにして、なるべく気にならないような工夫をすることも大切です。SNSやゲーム等の気になるようなアプリは受験時にはあまり使わないようにするのもおすすめです。

事前に決めたルールは随時見直しを

利用するアプリや課金、禁止事項等の約束事についても、話し合ってルールを決めましょう。
 
たとえば利用アプリは許可制、課金の有無や金額の上限、個人情報や顔写真は公開しない、他人の悪口は書かない、知らない人とやり取りしない、困ったことがあったら保護者に相談するなどです。
 
ネットいじめや誹謗中傷被害を受けたり、詐欺メッセージを受け取ったり等のトラブルも多いものです。被害が大きくなる前に相談してもらえる関係を築いておくことが何よりも重要です。利用し始めてからも意識的に会話して、相談してもらいやすくしましょう。
 
利用するアプリは、スマホの持ちはじめの時期は保護者とのLINE等の連絡用アプリを中心に、少なく始めるのがいいかもしれません。ダウンロードや課金の制限も、前述のペアレンタルコントロール機能で設定できます。
 
なお、利用時間や利用アプリ、課金、禁止事項等についてのルールは、成長に合わせて随時見直す必要があります。利用状況や環境等が変わったら、その都度子どもと話し合いながら新たに決め直すといいでしょう。
 
塾や勉強系YouTuberなどが学習動画を配信していて、学習アプリも多数あります。スマホは使いようで学習にも有効なので、ぜひうまく活用できるよう見守っていただければと思います。

高橋暁子
成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

SNS、10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門。スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。NHK「あさイチ」「クローズアップ現代+」などテレビ出演多数。SNS関連著作は20冊以上。全国の小中高校大学で講演多数。教育出版中学校国語の教科書にコラム掲載。「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」技術審査委員会技術審査専門員。元小学校教員で中学生の母でもある。
 
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